2010年04月24日

『2人の夫とわたしの事情』

『2人の夫とわたしの事情』でシアターコクーン。
原作サマセット・モーム。脚本と演出ケラリーノ・サンドロヴィッチ。

3幕まんべんなく笑いっぱなし。

松たか子が「わがまま放題でずるくて身勝手で浪費と自分のこと(だけ)が大好きで、けれど可憐でかわいくて、どうにもこうにも憎めない、いい女」ヴィクトリアを演じる、とことん軽くてしょーもなくて、けれど底抜けに楽しい喜劇。

松たか子って、こういうS気質なわがままキャラを演じさせたら本当にうまい。
アテ書きか!と思えるほどにぴったりの役どころ(いや、松たか子ご本人の人間性は知らないので、あくまで女優としての、なんですが)。
私利私欲のためならどんな手段もさらりと実行しつつ、常に保身も忘れない。
自分の魅力を十二分にわかっていてあっけらかんと利用し、常に上位の男を渡り歩く生き方は、女ならば一度は目指してみたいものだ(笑)。

ヴィクトリアのおかん(新橋耐子)もこの親にしてこの子あり。
人妻である娘に、次なるターゲットである成金男を盛んにけしかける。
貞淑さのかけらもないんだが、本人たちはいたって貴婦人然たる態度を崩さない。
こういうたくましい母子、好きだなあ。

2幕のすっとんきょうで寒々しいインテリアの客間、3幕のしょぼくれた食堂シーンなど、一見凡庸に見えるセットも、うまーく物語の流れに生かされていて、ケラらしいくすぐりがいたるところに埋め込まれており、そうとうに可笑しい。

1人めの夫役・段田安則と2人めの夫役・渡辺徹の小物っぷり、友情と愛情と諦念と我欲、そして非常にせこい押しつけあいも見どころ。
全幕徹底してヴィクトリアにひどい目にあわされてるのに、なんだかんだで最後までこの妻に対する愛情がにじみ出てしまう展開も、男性というものの根底にあるやさしさとかわいさを感じる。


宣伝イラストは金子國義画伯。
オマール海老のモチーフがシニカルでおかしくてそれでいてエロチック。
このお芝居になんともぴったり。

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Posted by いのうえさきこ at 23:59 │常なる日々