2018年06月16日

『ニンゲン御破算』

Bunkamuraシアターコクーンで『ニンゲン御破算』。



初演は2003年。
十八代目中村勘三郎(当時中村勘九郎)のために松尾スズキが書き下ろした幕末時代劇を、今回キャストを変えての再演です。

「ああ、確かにこの役は勘三郎だ」
と思わせてくれる、明るいんだけどどこか悲しみと闇をかかえる芝居好きの主人公・実之介。
武家の惣領として生まれ、奉行から密命を任されるほどの刀の腕前を持ちながら、歌舞伎の座付作者としての夢をあきらめきれず、自身の人生をモチーフにした芝居を作っていくなかで、現実世界と人間関係がのっぴきなくからみあい、作品の生みの苦しみとつじつま合わせの海にのまれ、溺れて行く。

勘三郎バージョンは観ていませんが、今回の阿部サダヲには完全にこの実之介がのりうつっていたと思います。

他のキャストも、多部ちゃんはもちろんめちゃかわいかったし、
岡田将生はその美しさをいかんなく生かしつつ終始いじられまくっていたし、
もちろん他の大人計画の役者さんも達者な方々ばかりで、冗談抜きで笑いっぱなしの2幕3時間半でした。

いやしかし。
何不自由ない環境で育ちつつ(まあ葛藤はあるのですが、ネタバレになってしまうのでそれはさておき)、お門違いの歌舞伎の作品作りに没頭して苦しむ実之介は、憧れの狂言作家・鶴屋南北(松尾スズキ)に絞り出すように言うのだ。

「ほめられたい…!」

ここのシーンが、帰って来てからじわじわきてます。
私にとっては、くだらなくて、脱力して、笑って、笑って、
やがて胸がしめつけられるお芝居でした。


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Posted by いのうえさきこ at 23:59 │舞台常なる日々