2014年04月28日
『ちびまる子ちゃんの古典教室』
名作圧縮漫画を描きました。
『ちびまる子ちゃんの古典教室』(集英社刊 918円)

日本人ならぜひ知っておきたい、代表的古典文学6作(『』竹取物語』『枕草子』『源氏物語』『更級日記』『平家物語』『おくのほそ道』)を、圧縮漫画にして、収録していただいてます。
子ども向きのシリーズとはいえ初めて知ったことも多く、苦しみつつも改めて名作原典の面白さにふれられた、楽しいお仕事となりました。
なかでも私の一番のお気に入りは「更級日記」。
作者は菅原孝標女(すがわらのたかすえのむすめ)。
特別頭が良い訳でもなく、容姿も平凡、どこまでいってもあか抜けない地方公務員の娘さん。
なぜこんなごく普通の女性の日記がここまで有名になったかというと。
彼女がいわゆる「オタク」だったから。
この世に「物語」という、それはそれは心ときめくものがあると知ってしまってから、彼女の人生は激変します。
毎日毎日考えることは
「早く物語が読みたい!」
という、ただそのことだけ。
「早く続きが読みたい読みたい読みたい」
「都にいれば即新作チェックができるのにぃ!」
たまに殊勝に仏様にお祈りしているかと思えば
「仏様! 早く私を京に帰らせて! 私に物語を読ませて!」

ほうぼうにせがみまくり、ついに「源氏物語」をコンプリートすることになるのですが、それからは
今はこんな(もっさりした)私だけど、
そのうち夕顔(源氏物語に出てくる薄幸の美女)みたいになって、
光源氏みたいなスーパーセレブイケメンに見いだされて、
めくるめく恋をするのよ!!
お約束の妄想炸裂。
……………。

良くも悪くも十人並み。
王子様に選ばれないほうの、その他大勢のモブキャラ。
イケてる美男美女の話を、お金出して(本)読んだり(芝居やドラマ)観たりするほう。
でもそれでいい。
いやむしろそれがいい。
現実に美女が味わう波瀾万丈の人生は、どう考えても私には乗りこなせないしね。
と、悔し紛れの台詞をはくところまでがアングル。
「更級日記」を読んでいると、若いときのダサかったりしんどかったりした部分をほじくりだされて、なんともこっぱずかしい気持ちになります。
と同時に、
物語を前にした彼女のキラキラとした熱い想いがひしひしと伝わってきて。
人生は「自分の好きなもの」を、たったひとつでも見つけられれば大成功なのだ。
と、強く思わせてくれる作品でもあるのです。
菅原孝標女さん、あなたという私に出会えて本当によかった。
でまあ、それはそれとして。
発表するつもりなどみじんもなかった思春期の妄想を、死後千年以上(そしてたぶんこれから)も世間にさらされるようになるなんて!
という部分には、心から同情を禁じ得ません。
なんでもかんでも赤裸々にさらけ出すことが常態となった、ログばやりの昨今としても、人ごとではないと思わせてくれる名作。
小さいお子さんをお持ちの親御さんに、教養面はもとより、個人情報管理の観点からも強くおすすめしたい一冊でございます。
『ちびまる子ちゃんの古典教室』(集英社刊 918円)

日本人ならぜひ知っておきたい、代表的古典文学6作(『』竹取物語』『枕草子』『源氏物語』『更級日記』『平家物語』『おくのほそ道』)を、圧縮漫画にして、収録していただいてます。
子ども向きのシリーズとはいえ初めて知ったことも多く、苦しみつつも改めて名作原典の面白さにふれられた、楽しいお仕事となりました。
なかでも私の一番のお気に入りは「更級日記」。
作者は菅原孝標女(すがわらのたかすえのむすめ)。
特別頭が良い訳でもなく、容姿も平凡、どこまでいってもあか抜けない地方公務員の娘さん。
なぜこんなごく普通の女性の日記がここまで有名になったかというと。
彼女がいわゆる「オタク」だったから。
この世に「物語」という、それはそれは心ときめくものがあると知ってしまってから、彼女の人生は激変します。
毎日毎日考えることは
「早く物語が読みたい!」
という、ただそのことだけ。
「早く続きが読みたい読みたい読みたい」
「都にいれば即新作チェックができるのにぃ!」
たまに殊勝に仏様にお祈りしているかと思えば
「仏様! 早く私を京に帰らせて! 私に物語を読ませて!」

ほうぼうにせがみまくり、ついに「源氏物語」をコンプリートすることになるのですが、それからは
今はこんな(もっさりした)私だけど、
そのうち夕顔(源氏物語に出てくる薄幸の美女)みたいになって、
光源氏みたいなスーパーセレブイケメンに見いだされて、
めくるめく恋をするのよ!!
お約束の妄想炸裂。
……………。

良くも悪くも十人並み。
王子様に選ばれないほうの、その他大勢のモブキャラ。
イケてる美男美女の話を、お金出して(本)読んだり(芝居やドラマ)観たりするほう。
でもそれでいい。
いやむしろそれがいい。
現実に美女が味わう波瀾万丈の人生は、どう考えても私には乗りこなせないしね。
と、悔し紛れの台詞をはくところまでがアングル。
「更級日記」を読んでいると、若いときのダサかったりしんどかったりした部分をほじくりだされて、なんともこっぱずかしい気持ちになります。
と同時に、
物語を前にした彼女のキラキラとした熱い想いがひしひしと伝わってきて。
人生は「自分の好きなもの」を、たったひとつでも見つけられれば大成功なのだ。
と、強く思わせてくれる作品でもあるのです。
菅原孝標女さん、あなたという私に出会えて本当によかった。
でまあ、それはそれとして。
発表するつもりなどみじんもなかった思春期の妄想を、死後千年以上(そしてたぶんこれから)も世間にさらされるようになるなんて!
という部分には、心から同情を禁じ得ません。
なんでもかんでも赤裸々にさらけ出すことが常態となった、ログばやりの昨今としても、人ごとではないと思わせてくれる名作。
小さいお子さんをお持ちの親御さんに、教養面はもとより、個人情報管理の観点からも強くおすすめしたい一冊でございます。
Posted by いのうえさきこ at 09:26
│本