2013年02月16日

『ホロヴィッツとの対話』

『ホロヴィッツとの対話』を観にPARCO劇場。
『コンフィダント・絆』、『国民の映画』に続く、三谷幸喜作・演出による“海外芸術家シリーズ”の第3弾。
今回も前から4列目。上手寄りの良席。



渡辺謙のなんと12年ぶりの舞台出演&和久井映見の初舞台+手練の段田安則&高泉淳子というキャスティングは、話題性においてもスター性においても文句のつけようなし。
実際4人こっきりの出演者なのに、劇場ロビーの胡蝶蘭率は過去観たお芝居のなかでもダントツ。強い香りが劇場中にただよっておりました。
加えて三谷幸喜が描く「脚光を浴びるアーティストとそれを支える裏方との人間模様」設定。おもしろくないわけがなく、皆達者でそれなりの充足感はあったのですが。

『コンフィダント・絆』(ちなみにこの作品は画家であるゴッホ、ゴーギャン、スーラ、シェフネッケルの友情、というかドロドロを描いた舞台)を観たときのような、



あらゆる感情が揺り動かされるような、うわーっっとした感覚は最後まで出てこず。
画家と音楽家という部分での、共鳴度合いの違いか、あるいは期待値が高すぎたのか。

モヤモヤしつつ、でも謙さんはさすがの存在感。超かっこよかったねえ~重厚だったわ〜グレートよねえ〜ライブでいいもの観せてもらったわ〜と終演後友人たちとあれやこれや語っていたときにふと1人から出た言葉。

「謙さんの役、中井貴一でも観たかったかも」

……ああそれだ。これは貴一さんでも観てみたかった。

渡辺謙の演じるフランツには(私の渡辺謙さんへのグレイトなイメージのせいで)、大天才に振り回され、妻との板挟みにアタフタする「小市民」感がいまいち感じられなかったのです。
変な話、ルックスも佇まいもムードも、渡辺謙はかっこ良すぎる。
中井貴一も本人はとてもスタイリッシュですが、彼には軽やかさがある。
これはもう誰が悪いわけではなく、三谷脚本との相性なんでしょうね。

全体通してコミカルな展開の中、唐突に重い事実が明らかになるシーンもあるのですが。
重いテーマを重厚にではなく、「軽く」表現するってやっぱりとてつもなく難しい。

「軽さ」の重さをずっしり感じた芝居でした。

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夏目漱石は神経衰弱(当時の病名)をはじめ、強迫観念、肺結核、胃潰瘍、糖尿病と、本人は死ぬまでありとあらゆるストレスにまきこまれた一生でしたが、『坊ちゃん』の文体は非常に軽やかで読みやすい。
軽さの中に文豪の偉大さを感じる作品です。



  

Posted by いのうえさきこ at 23:59常なる日々

2013年02月16日

どうかBUNDANと発音してください。

月刊『YOU』絶賛発売中です。
3号連続集中連載の初回『文学男子ーBUNDAN』のモチーフはアレクサンドル・デュマ・フィス作『椿姫』。
19世紀に書かれた恋愛小説ですが、男女間のもめごとの種というのは、大昔だろうが平成だろうが、貴族だろうが平民だろうが、フランス人だろうが日本人だろうがちいとも変わらないのだなあ、と思わせてくれる傑作です。

ちなみに次号『文学男子ーBUNDAN』のモチーフは芥川龍之介作『河童』。
『河童』の書き出しは


どうかKappaと発音して下さい。

という、ちょいシュールな一文で始まります。
私も『文学男子ーBUNDAN』の冒頭に

どうかBUNDANと発音して下さい。

とか書けば少しは格調高くなったかも…と下種なことを思ったりしましたが、なんにせよ単行本制作はもう手を離れてあとは発売を待つのみ。
いまの私にできることは、イケメン河童をたくさん描くという素敵なお仕事を遂行することのみです。


  

Posted by いのうえさきこ at 12:28常なる日々

2013年02月13日

今月のボツ原稿



どんな文章でもどんな絵でも、後で見返すと「なんでこんなの描いたんだろう」と思うことは、ままあることです。

明日はいろいろなところでチョコレートが飛び交うのでしょうね。みなさんの成果を祈ってます。

さて、貧しくせつなく美しいカップルのプレゼント交換(季節はクリスマスですが)といえばO・ヘンリー作『賢者の贈り物』。
もちろん「文学男子ーBUNDAN」でも取り上げてます。

金がないなら身の丈に合わんプレゼントなんか買わんでええがな、と思うのは宗教観の違いでしょうか。
そもそも妻が買ったプラチナの鎖って金時計と合わんがな、と思うのは私のセンスが古いのでしょうか。

  

Posted by いのうえさきこ at 00:01常なる日々

2013年02月09日

『遠い夏のゴッホ』

松山ケンイチ初舞台公演「遠い夏のゴッホ」を観に赤坂アクトシアター。

西田シャトナーが松ケンのために書き下ろしたという今作。

というモチーフのせいなのか、松ケンなのにいまだTVスポット打ちまくりだし、割安のリピーター券まで発売されてたりと、興行的には厳しい状況のようです。
しかし舞台そのものは最後まで眠ることなく(重要)、きちんとおもしろく観てしまいました。

松ケンが「冬を越すセミ」というありえない設定を、非常に楽しそうに演じていたのが収穫でしょうか。清盛大河のくすぐりネタもノリノリだったし。
席が前から4列目中央だったというのもあって、くるくる変わる表情も間近で堪能できました。
昨今いろいろつっこまれどころの多い役者さんですが、そういう雑音も芸の肥やしにして、これから舞台でもいろんな役に挑戦してほしいと思うのです。

個人的な今回の一押しは同じセミの恋人ベアトリーチェを演じた美波。
かわいく可憐、存在感があってすばらしい。


あとハチ役の小松利昌、クワガタの石川禅。
最近予習復習しておかないと、舞台上の顔と名前が一致しないため、メモメモ。


さて、セミならぬ「虫」になった話といえばカフカ作「変身」。
「文学男子ーBUNDAN」でも作品を取り上げております。
原作中では明言していない「どんな“虫”に変身したか」の考察も漫画で描いてます。
どうか御見知りおきを。
  

Posted by いのうえさきこ at 23:59常なる日々

2013年02月08日

facebook始めました

私のところまで来たらトレンドも飽和状態、伝説のストッパーいのうえさきこです。
でもたぶんfacebookは大丈夫。たぶん。

ちなみにやったこともないうちから「facebook疲れ」などという単語だけは覚えてしまいましたが、始めるからにはつながってみたりシェアしてみようとか思っております。
ええ、もちろんすべて聞きかじりの単語です。

というわけで、ピンクの表紙が女性ホルモン増幅に一役買ってくれる「文学男子ーBUNDAN」でございます。

集英社の担当さんに、「文学男子ーBUNDAN」プロモーション用のFacebookページも作っていただきました。
よかったら「いいね!」してみてください(言い方が合ってるかどうかはわかりません)。

「文学男子ーBUNDAN」単行本発売記念として、月刊YOUで「文学男子ーBUNDAN」を3回集中連載しております。
次回発売は来週の15日。
第一回はオペラでばかり有名ですが、案外みなさん原作版のオチを知らない「椿姫」。
美女と金と若い男と金と金がからむ悲恋物語(私が書いているからじゃなく、本当に金恋金恋金ぐらいの割合なの)ですが、容赦のないストーリー展開は、美人(そしてお金持ち)でなくて本当に良かったと…思います。
いや、本当、面白いのです。
  

Posted by いのうえさきこ at 00:03