2009年10月30日

ジンギスカン

仕事で小さな奇跡を起こさなければいけないウィーク中でした。

奇跡、というのは奇跡のように面白い原稿を描く、ということではなく、わたくし的にいまだかつてない物量の漫画を描いた、ということなわけですが。
こうして精神的にも身体的にも強い負荷がかかる戦いがいざ一段落した今、とてつもない開放感と同時に、描いた原稿の報酬以上にネット通販でポチしてしまっているという苦い現実に飲み込まれそうになっております。
奇跡を起こしたのも、その同じ右手で「カートに入れる」をクリックしたのも自分。
この事実を厳粛に受け止めたいと思っています。

とにもかくにも今はすがすがしい気持ちでいっぱい。

奇跡仕事の隙間、珍しく「怒髪天」がゲスト出演というので朦朧とした状態でTV視聴。
「怒髪天」は東京に来て社長に教えてもらって以来、都内でやっているライブにはほぼ顔を出せている唯一のバンドなのだ。

彼らの音楽のテーマは主に「酒」と「労働」。

ライブでは「この歌は私のためにある!」と叫びそうになる曲が数百はある(数字は言ってみただけ。いくら彼らがサービス精神満点でもそんなには演奏できません。なんとなく熱き心のフリ幅としての数値です→数百)。

で、イメージにたがわず怒髪天メンバーも日々まっとうに飲んだくれてるわけだが、なかでも非常にわかりやすく「酔っぱらい」オーラをまとっているのが作詞とボーカルを担当している増子直純、通称アニィ。

地元出身バンドということで北海道の夏フェスRSRにもほぼ毎年出演しているのだが、その暑苦しいパフォーマンスとは別に、RSRキャンパーたちの間で名物となっているのが増子アニィのしどけない泥酔姿。
自分たちのステージが終わるやいなや文字通り浴びるように飲み始め、朝だろうが夜だろうが真っ昼間だろうが、フェスが終わるまで酩酊は続く。怒髪天の出演時間が最終日のトリに近い場所に設定されていたある年は、飲み過ぎにもほどがあるアニィの体を心配した主催者側の配慮のタイムスケジュールではないかと噂していたほど。

ちなみに名曲『酒燃料爆進曲』インディーズ時代のPV。声と顔がちょっと若い!
http://www.youtube.com/watch?v=cpIBuzNoncU&feature=related

増子さんに限ったことではないが、そういう状態の人間というものはたいてい人としてダメな状態。

ダメかっこいい。

はやらないとは思うけど好きだから言ってみた。

もちろんファンのほうも承知の上で、キャンプエリアや物販エリアを朦朧とさまようアニィに声をかけ、共に酒を酌み交わし、少なくないテントが「増子直純専用御休処」のノボリをかかげてアニィ巡礼をお待ち申し上げたりしている。

私も去年そんな状態のアニィを見つけ、いっしょに写真におさまってもらったりした。
あとで見たら、雄大な北の大地とどこまでも青い空をバックに、顔を真っ赤にしたヘタレな酔っぱらいがふたり写っていた。



北海道には美味しいものが星の数あれど、私にとって北海道の味覚のゴールデンペアはやはりジンギスカンとビールだ。

どこまでいっても日常で、毎日汗とか冷や汗とか流しながら生きてる。
ちょっとダメなところもある、けれど愛すべき人たちの食べ物と飲み物。

高級じゃないけど力がわいてくる。
あか抜けないけどクセになる。
ちょっとクサいけどそこんとこがまたたまんなく旨い。

このために生きている。
これで明日も生きていける。

「生きてるだけでOK!
ま、いろいろあるけど」

(怒髪天『全人類肯定曲』より)

ちなみに明日、日本シリーズが北海道からスタートするわけだが。
どんな結果になろうとも、お互いここまで生き残ったことにまずは乾杯したいのだ。


『食わせろ!県民メシ 47都道府県のお国自慢グルメ』
(文:永濱敬子 漫画:いのうえさきこ 発売:講談社 税込1050円)
  

Posted by いのうえさきこ at 18:53『食わせろ!県民メシ』